未来型国家エストニアの挑戦 電子政府がひらく世界

  • 2021-01-09
  • 書評
エストニア

● 本のプロフィール

タイトル:未来型国家エストニアの挑戦 電子政府がひらく世界
著者  :ラウル アキリヴィ/前田 陽治
発売日 :2016年1月29日
出版社 :インプレスR&D

● 本の概要

電子政府(e-Goverment)を実現した世界でも先進的な国家であるエストニアを紹介しています。エストニアで提供されている電子行政サービス、それによる市民がどのような生活をしているか、また電子行政を実現している仕組みについて解説しています。

エストニアではインターネット投票をはじめとする様々な行政サービスがオンライン化されており、電子行政分野では日本より10年進んでいると言われています。これを実現しているインフラ(情報基盤)が「RIHA」と「X-Road」です。
・RIHA    :国家情報の管理システム
・X-Road:データ交換基盤

エストニア電子政府基本構成エストニア電子政府基本構成(本書より引用)

 エストニアではそれぞれ独立した公的機関(住民登録、健康保険、etc…)をX-Roadで繋ぎ、ユーザーインターフェースとなるフロントサービスが各種行政サービスを横断的に利用できるようになっています。この接続された各種サービスを統合管理するのがRIHAという位置付けです。

 このRIHAとX-Roadによる情報基盤がエストニアの電子政府を支えています。

● 感想

 日本でもマイナンバーやコンビニでの証明書発行など、行政サービスのオンライン化が進んでいますが、エストニアはその何段階も先を行っているという印象を受けました。個人的には、マイナンバーカードの取扱いや行政ネットワークへの接続の敷居が高いことが電子行政の進化を停滞させている要因の一つになっているように思えます。

 エストニアだけが特別進んでいるのかというとそうでもなく、デンマークやシンガポールといった様々な国が行政の電子化を進めており、国民のQoL(幸福度)を高めています。また先進国ばかりではなく、インドでもIndiaStackによるデジタル化が進んでいます。

 これらを実現するキーポイントは「分野間データ連携」「APIオープン化」といった従来の縦割りのシステム構築の概念から脱却であり、相互運用が可能な仕組みが必要性なのだと思います。これらは日本でも現在力をいれて取り組んでいる分野であり、デジタル庁創設によりさらに加速していくことを期待しています。

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